習い事に親がついていく、それだけのことがこんなに大変とは思わなかった。
例えばピアノに連れて行く。小さな指はまだピアノを弾くには弱すぎて、音符も知らない、集中力も続かない、おまけに歌ったり踊ったりするのは好きだけど、ピアノにそれほど興味がない、そんな子どもに先生が根気よく少しずつ、少しずつ教えてくださる。
その間付き添いの私は子どもの様子を見、聴く、ときどきその辺に置いてある音楽の雑誌をめくったり、少しだけ体操したり。・・・・貴重な時間が過ぎてゆくのがもったいないと思えてしまう。早く1人で通ってくれないかな。でなきゃいっそのことやめてしまいたい、と親のほうが思うこともしばしば。
でもやめない。
子どもは子どもで意地張ってやめないと言う。なんだか意地の張り合い。
5歳の娘はバレエも習い始めた。ついこの前の日曜に初めての発表会を終えたばかりだ。
バレエは好きと言い、お友達ともいっしょなので楽しいみたい。親も親同士の交流があってほっとする。
でもやっぱり時間はとられる。発表会前の練習には弟たちがついてくると邪魔になるので、実家に預けるしかなかった。チビたちはチビたちでママがいなくて寂しい思いをし、週末の家族の時間も削られることになった。家族の理解と信頼がなければ続けられないと感じた。
発表会は素晴らしかった!もちろん当日も朝から夕方まで、前日も午後半日リハーサルで、ステージママは髪結いから針子から受付係からドア係まで務めるのだ。ママたちの逞しさに圧倒された。F市からの応援のバレリーナの中には、ロシアのバレエ団への入団が決まっている方もいて、そういうふうにプロになるには、本人の努力はもちろん、親も好きで続かなければ。それに家族の協力も不可欠だ。
なぜピアノとバレエなのかというと。
昔ギリシャのアテネでは音楽と体育が必修だったそうな、という高校の時の世界史の先生の言葉を聞いてから、自分の子どもには音楽と何かスポーツをさせたいとずっと思っていた。
ピアノは私自身習っていたし、何の楽器をするにしても基本だそうだから。
スポーツはなんでもいいし、学校に行くようになったら何かするだろう。
バレエは最近興味を持った。はじめはソフロロジー式分娩だった。そこからヨガやいろいろな体操をやりだしたところ、たまたまバレエの本を見つけて我流で踊っていたら、脚が引き締まって筋肉が付いてきた。こころとからだのことに無関心ではない私は、呼吸と姿勢をととのえ、さらに柔軟性やバランス感覚も養うバレエをいいと思った。
習い事、早すぎたかもしれない。それに親は子どもの一番の観客としてしばらくはじっと付き添わなきゃならない。子育てに何がよくて何が悪いのか、結論が出るのはずっと先の話。そもそも何がいいかなんて言えないのかもしれない。大事なのは子どもを信頼し、子どもを見守ること・・・・親という漢字を覚えたてのころ、担任の先生が言った、おやは立って木のように見るから親なのよ、と。